静岡市では、産学官連携による海洋産業の振興に取り組んでいます。
このたび、同じく海洋産業の振興等に向け取組を推進している神戸市、横浜市とともに、「学生海洋ビジネスアイデアコンテスト」を実施し、最優秀賞と優秀賞の受賞者を決定しました。
1.審査について
全国の大学生、高校生を対象に、海が持つ課題等を解決し、また、ビジネスへの発展に繋がることが期待される取組のアイデアを募集し、下記のとおり審査を実施しました。
<募集期間> 令和4年7月22日(金) ~ 10月30日(日)
<応募件数> 21件
<一次審査> 書類選考にて、21件の中から最終審査に進む4組を選定
<最終審査> 一次審査通過者4組には、プレゼンテーションの様子を事前に撮影いただき、撮影
動画をもとに、審査員による意見交換を踏まえ、各賞を決定
<受 賞 者> 最優秀賞1組及び優秀賞3組 (詳細は下記のとおり)
<審 査 員> テクノオーシャン・ネットワーク事務局、神戸市、静岡市、横浜市職員の計4名
(審査協力:海洋に関する研究機関、企業等)
2.受賞アイデアについて
<最優秀賞アイデア>
【受賞者】
北海道大学 竹内航平/川島悠
【アイデア名】
生分解性プラスチックと遺伝子組換え大腸菌を用いたマイクロプラスチックの回収
(課題テーマ:海洋環境保全)
【概要】
生分解性プラスチックの表面にマイクロプラスチックを吸着できる遺伝子組換え大腸菌のバイオフィルムを形成し、マイクロプラスチックを特異的に回収する。この装置を下水処理場に設置し、マイクロプラスチックを回収し、回収実績をアパレルなどの顧客に販売する。その対価として運営費をもらう。
【評価点】
海の生態系に甚大な影響を及ぼすマイクロプラスチックに着目し、遺伝子組み換え大腸菌を用いてマイクロプラスチックを回収するというご提案をいただきました。回収方法のほか、回収場所に関しても着眼点がよく興味深いものであった点や回収したマイクロプラスチックの販売に関するビジネスモデルなどについても検討されており、社会課題を解決しようとするビジネスアイデアの可能性を高く評価しました。
<優秀賞アイデア>
【受賞者】
椙山女学園大学 滝岡なつみ/池村すみは/石川梨夏/大塚伊織/大塚紗織/
川野菜々美/川村結愛/木下梨花/髙植雪乃/松本結
【アイデア名】
ホテルシップで「クルーズワーケーション」 ―クルーズ客船の活用による経済波及効果―
(課題テーマ:海を活用したビジネスアイデア)
【概要】
コロナ禍で人の移動が制限され、観光産業が厳しい状況に置かれている中で、クルーズ客船の運航もできなくなった。クルーズ客船の船内にはレジャー施設もあり、長期に滞在しても飽きさせない。ワーケーションによる長期滞在をクルーズ客船で行うことで、新型コロナウイルス感染症で低下したイメージの改善や新たな客層の開拓によるクルーズ市場の拡大、コロナ禍で寄港が減少した港への経済波及効果の拡大を実現する。
【評価点】
コロナ禍で大きな影響を受けたクルーズ客船市場に着目し、ワーケーションという観点から利用者層の拡大を狙うアイデアであり、地元への経済波及効果を大きくするための視点も含めてご提案いただきました。リサーチやターゲット設定など、よく分析・検討されており、論理の構成が明確であった点を評価しました。
▽発表動画はYouTubeで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=582tOr49BD4
【受賞者】
横浜国立大学 鳥居壮瑠 / 横浜国立大学院 藤井元春
【アイデア名】
海上移動ホテルで横浜観光 Yokohama Floating Base (YFB)
(課題テーマ:海を活用したビジネスアイデア)
【概要】
横浜は日本の主要な観光都市であるにも関わらず、外国人からの知名度は低く、また日帰りの観光客が多い。そこで、新たな名所として「海上を移動する世界初の球体型ホテル」を作ることで地域経済の活性化を促しつつ、横浜の魅力を世界に発信していく。移動式のホテルからは、みなとみらいの景観を始めとして、京浜工業地帯の夜景や花火、巨大ガンダムなどを一望することができ、今までとは異なる観光体験が実現される。本企画では、浮体式ホテルの開発から運用計画まで技術的な観点を踏まえて提案する。
【評価点】
横浜市への宿泊観光客や外国人観光客の増加という点に着目し、新たな観光コンテンツの創出として、浮体式球体型海上ホテルの開発をご提案いただきました。人を惹きつけるデザインの工夫や費用面を踏まえた運用計画、さらに安全性を考慮した技術面の提案をいただくなど、よく分析・検討されており、質の高い内容であった点を評価しました。
【受賞者】
灘高等学校 何振宇/河村達哉/中里陽生 / 東京大学大学院 何若凡
【アイデア名】
オンライン市場の形成による水産市場の規模拡大
(課題テーマ:海を活用したビジネスアイデア)
【概要】
水産の市場規模は年々、縮小しており、取引量の減少、買受人の減少、人手不足、価格形成力の不足などが問題となっている。我々は魚市場をオンライン化して取引を効率化するとともに、消費者や小売店がスマホやパソコンから競りに参加できるようにすることで取引量を増加させる。オンライン化に際しては競りで参考にできる指標としてAIによる評価を用いることで、実際に見なくても商品の状態をある程度判断できるようにする。
【評価点】
世界では水産物需要が増加し続けている一方、国内では市場規模が縮小しているという現状に着目し、その原因を分析したうえでの命題抽出、目標設定、アイデア出しと、綿密にビジネスアイデアが構築されています。魚介類の評価指標を開発し、AIに自動評価させ、オンライン市場を開設することで、各地の競りに全国どこからでも購入希望者が参加できるという仕組みは、今後のニーズが見込まれ、実現の可能性が高いと感じられた点を評価しました。
<参考1>
令和4(2022)年度 3都市共催 学生海洋ビジネスアイデアコンテストについて
本コンテストの詳細については、下記HPをご確認ください。
https://www.city.kobe.lg.jp/a47946/ocean/nurture/student/ideacontest2022.html
<参考2:課題テーマ>