UPDATA 2022.12/07 /// 実施プロジェクト(海洋資源探査・開発)

人工海藻シーラント・プロジェクト状況

プロジェクト詳細

 

人工海藻シーラントは炭素高含有ポリエチレン発泡体製で、設置直後に海中林を模した環境を容易に創出できる技術です。シ―ラントによる人工藻場造成は、磯焼けにより減少した藻場が回復するまでの間の代替策や、砂浜など本来藻場が形成されにくいところに人工藻場を新たに作り出していく技術です。

 

令和3年には、人工シーラントが藻場としての基盤的な機能を有することが確認されました。具体的には、簡単に設置でき、高波浪への耐久性もあり、魚介類の集魚効果があり、又、藻場規模が大きいほど滞留時間も増加することが分かってきました。

 

そこで、令和4年には、人工藻場の実用化に向けて、漁船が操業できる藻場はある程度水深のある場所が条件であるため、この実用条件に適したシーラントの技術開発及び効果検証を目指しています。

 

実用条件に適したシーラントの技術開発として、シーラント配置方法の改良を検討します。具体的には、水平的に規模を拡大するのではなく、鉛直的に規模を拡大し、魚介類の集魚効果の向上を目指します。またシーラントの改良として長さや形状を検討するとともに、由比海域の既存の波高、潮流データーを用いた強度計算に基づき、由比海域に設置可能なロングシ―ラントの全長を決定します。

 

実用条件に適したシーラントの効果検証として、まず、高効率な集魚の場の機能の効果検証として、台風シーズン後の調査により、集魚効果とともに、ロングシーラントの移動、流失、破損がないことを確認します。次に、漁場としての機能として、遊漁若しくは漁業操業により、造成漁場で漁獲します。また、再生産の場としての機能として、新たにデザインしたシーラントへのアオリイカなどの産卵を確認します。さらに、炭素固定(ブルーカーボン)の機能として、シーラント表面に生育する海藻類を採取して単位面積当たりの炭素量を推定します。

 

設置直後のシーラントと海藻の付着したシーラント

 

 

 

シーラントに集まる魚類やイカ類